その後、不動産事業に異動した関は、当時を述懐してこう語る。「法人営業の役割は『お客さまのため』を徹底することなので、不動産の知識もないのに、けっこうな無茶を半田さんにお願いしていたと思います。それは、不動産事業に来てみてよく分かりました」。だが、「お客さまにも法人営業担当者にも、不動産の知識を豊富に持っている人は少ない。不動産事業とタッグが組めた経験は、私個人だけでなく、周囲の法人営業担当者にとっても大きな知見になったと思います」。
その後、法人トータルソリューション事業ではこのお客さまとの取引を拡大し、運用取引を獲得。また、土地の流動化や保有する機器のリースなど、資金調達のサポートを展開するに至っている。また、不動産事業でも売主となったお客さまとの関係を深め、法人営業と組んで、別の工場跡地の売買仲介を手掛けている。「期待していたことが、そのまま実現しているという実感です。関から連絡を受け、お客さまとの折衝を重ね、それが次の案件にもつながる。理想的な流れと言っていいのではないでしょうか。法人営業と連携する機会は、今後もっと増えていくと思います」と半田は実感を込める。
不動産は今、保有の時代から貸借の時代へと変化している。一部の海外投資ファンドなどを除けば、本当にニーズに合致した時にのみ、物件は動く。「ないなら、ないで仕方ない」という買主の懐に入り込み、本質的な課題を共有しなければ、不動産がソリューションになるとは限らないのだ。そんな中でパフォーマンスの最大化のために奔走した関と半田。各々がその後、それぞれのお客さまとの距離を縮め、さらに発展させる礎となった点で、本プロジェクトは新たな不動産取引の幕開けとして、刻まれるかもしれない。